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舌小帯短縮症2021年ガイドライン
目次
2021年・舌小帯短縮症の最新ガイドライン
はじめに
舌小帯短縮症は昔産婆さんが、生まれたばかりの赤ちゃんの舌小帯を見て、おっぱいの吸い付きが悪そうだったらハサミでチョンと切ってました。
これが医療行為と言うことで、1980年代に舌小帯短縮症は、当時の厚生省(現:厚生労働省)によって、舌小帯異常と言う病名で、舌小帯形成術(伸展術)という手術名で保険導入されました。
この口腔外科の開発した舌小帯形成術は画期的で、局所麻酔して舌先に糸を通して上に引っ張り、伸びた舌小帯を真ん中で切るとダイヤモンド型に広がり、更に上下左右に伸びた。
それを縫合すれば、舌が伸びた状態になり、舌小帯短縮症が治るという術式です。
それなのに、当時の小児科医や耳鼻咽喉科医や歯科医は舌小帯形成術の術式を知らなかったし、できませんでした。
そこで産婆さんのハサミでチョンと切れば良いという安易な考えが根強く残っていて、小児科医や歯科医や耳鼻咽喉科医は産婆さんと同じように無麻酔でハサミでチョンと切りっぱなしや、電気メス切開(後にレーザー切開)と言うように縫合しないで開放創にしました。
その結果、傷口は大きく開いたままのために瘢痕治癒と癒着が起こり、余計に舌小帯は固く動かなくなりました。
更に、舌癒着症(舌小帯・上唇小帯とその下の筋肉を同時レーザー切開)という架空の病気のグループと小児科学会が1994年ノルウェーの「乳幼児突然死症候」の国際学会で揉めて、2001年に舌癒着症と舌小帯短縮症を同じものと勘違いして、全て禁止にしたことが舌小帯短縮症が皆さんに知られていない原因です。
みなさんもこれから手術を受ける医療機関が、舌小帯形成術なのか確認してから手術されることお勧めします。
舌小帯短縮症の治療は舌小帯形成術だけで、レーザー切開、舌癒着症、ハサミで切りっぱなしは厚生労働省では認められていない治療です。(自費診療です。)
舌小帯短縮症手術は日本だけ行われていません(鎖国)
海外では、殆どの国が生まれたばかりの赤ちゃんの短い舌小帯を切ります。
但し、後で説明しますが、舌小帯を切るにも切る部位と深さが問題になります。
舌小帯はひもではなく、舌先だけ舌に付いているカーテンみたいな構造
この写真は、舌を上に引っ張った状態で、舌小帯の真ん中を切開したものです。傷口はダイヤモンド型より、寧ろ二等辺三角形に広がります。すぐ下にオトガイ舌筋が露出しています。舌下小丘まで傷口が広がっています。舌小帯を切開した上部に舌小帯が舌としっかいくっついているのが分かります。
つまり、舌小帯の真ん中を切開しすると、その下は舌とくっついておらず、離れているということです。
だからこの開いた傷口を縫合すると、オトガイ舌筋と癒着が起こります。
新・舌小帯形成術
これは舌を糸で引っ張り、舌先に切れ込みを入れて、再度引っ張った状態です。見て分かるように傷口は広がりません。これは舌小帯が舌とくっついている部位を浅く切った後にもう一度引っ張ったので、完全に下まで切れなかったのです。こうすることによってオトガイ舌筋との癒着は防げます。
舌小帯の構造
上は大人の舌小帯で固い結合組織になっている。下は赤ちゃんの舌小帯で粘膜で重層扁平上皮で柔らかい。
舌小帯はひもでなく、舌先の上部にだけ付いていて、舌の根元まで黄色で示したように舌と離れています。
切開の位置も舌小帯真ん中では傷口が広がりますが、舌先だと広がりません。
舌小帯は表面だけ裂ける
これは舌小帯短縮症の手術前に舌トレーナーで舌を引っ張るトレーニングして舌小帯の表面が裂けたものです。実は、この引っ張って裂ける方法が舌小帯短縮症の一番の治療法です。深く切るとその下のオトガイ舌筋が出て、傷口はダイヤモンド型に大きく広がってしまう。
これは私が小学校3年生の時に自宅で舌が何かくっついている感じがして、指で摘まんだところ「ブチッ」と言う音と共に痛みとちょっと出血しました。今にして思えば、自分で舌を引っ張って舌小帯短縮症を治したのかもしれません。
それ以外に30年間舌小帯形成術をやってきて、手術前準備の舌先に糸を通して上に引っ張った瞬間、何度も「ブチッ」と音と共に舌小帯が一部表面だけ舌小帯の真ん中が裂けていました。これだけでもよかったのですが、舌先に舌小帯が残っていると、ハート舌やスプリット・タンが治らないので、舌先の舌小帯にハサミで切れ込みをだけ入れて、糸を引っ張るとそこだけ裂けてくれました。
この方法を新・舌小帯形成術としました。
舌小帯短縮症には術前術後の舌を引っ張るトレーニングが必要
舌小帯短縮症には術前術後の舌を引っ張るトレーニングが必要である。なぜなら、糸で引っ張った状態で手術しているので、術後元の長さに戻ります。それを防止するのです。MFTでは効果はあまりありません。
舌小帯短縮症の手術は生後3か月で体重6,000gがベスト
スキャモンの成長曲線です。生後半年以内が、リンパ、神経、一般(筋肉など)の成長が著しい。その時に舌小帯が短くて哺乳できなければリンパ、神経、一般の成長はほとんど無い。そのためにも早期発見で手術することが望ましい。
それに生後6か月まで喉の奥の喉頭蓋は直立のまま動いていません。これは離乳食が始まる生後6か月に嚥下運動が始まります。それまでに哺乳によって舌の筋肉が鍛えられて嚥下することができるようになるのです。当然発音もトレーニングされています。小児科学会の言うように、3歳まで待っていれば舌小帯は月齢と共にどんどん固くなっていきますので、そこで手術しても構音障害は中々治らない。
生後6か月以降の舌小帯短縮症の手術のリスク
リガフェーデ病
生後6か月過ぎると下顎乳前歯が生えてくる。この乳前歯の切端がギザギザのために舌の裏の舌小帯を傷つけて口内炎がずっと続く、これをリガフェーデ病と言う。治療は切端のギザギザを丸く削ってあげる。また、舌小帯形成術後も縫合した部位が当たるためにリガフェーデ病になる。
ブランディンヌーン嚢胞
舌小帯形成術を行った後に、舌の裏の唾液腺の導管が切れてそこから唾液が漏れて嚢胞になったもので、摘出手術すればその部位が傷つき、また粘液嚢胞を作りエンドレスになる。治療法は食事を薄味にすれば唾液が出なくなれば凹みます。
まずは手術方法を聞いて、レーザー切開や舌癒着症やハサミで切りっぱなしの場合は断ること!
舌小帯短縮症は舌小帯形成術しか治りません。レーザー切開や舌癒着症やハサミできりっぱなしでは傷口は瘢痕と癒着で固くなって動かなくなります。それにこれらの方法は厚生労働省でみとめられていません。一度瘢痕と癒着した舌小帯は固くなっているため再手術できません。
だから、手術する前に必ず舌小帯形成術ですか?レーザーや舌癒着症やハサミで切りっぱなしは必ず失敗するので絶対止めること。