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どうして舌小帯短縮症という病気を誰も知らないのか?
目次
どうして舌小帯短縮症という病気を誰も知らないのか?
・小児科医と舌癒着症の医師との軋轢が原因
・船頭多くして船山に上がる:独自の持論を展開する人が多く治療方法がまとまらず、一同会することは無い
海外では、生まれたばかりの赤ちゃんの短い舌小帯を現在でも切っています。これは哺乳障害や将来英語などのことばが発音できないと困るためです。
ファーストインパクト
舌小帯短縮症は50年ぐらい前に産婆(助産婦:現助産師)が、おっぱいの吸い付きが悪い赤ちゃんの短い舌小帯をハサミでチョキンと切っていました。医療行為ということで当時の厚生省は禁止し、保険診療に取り込んで小児科にやってもらう予定でした。しかし、小児科は迷信とか悪習とか大阪の方で出血多量で死亡者が出たという噂でやりませんでした。それでも一部の小児科医と耳鼻咽喉科医がハサミで切ったり、電気メスで舌小帯を切っていました。
セカンドインパクト
以前に舌小帯を切っていた有名な助産婦の流れで、ある耳鼻咽喉科の医師が舌小帯切除を行っていた。医師会の誌上で小児科医と舌小帯短縮症で論争していたようですが、後に舌小帯短縮症と異なる「舌癒着症」と言う架空の病気を作る。舌小帯短縮症とは異なるそうです。舌小帯短縮症は保険診療が認められていますが、舌癒着症は現在でも厚生労働省には認められていないので、手術は自費だそうです。舌癒着症は呼吸疾患なんだそうで、舌と下顎骨が癒着して舌と喉頭蓋(こうとうがい)と喉頭(こうとう)が上前方に引っ張られて、気道が前方に倒れていて鼻から入ってくる空気が上手く入らないそうです。そのため舌癒着症の手術は舌の裏側の舌小帯と粘膜をレーザーで切開後、舌の筋肉(オトガイ舌筋:頤筋)の表層3層切除するそうです。同時セットで上唇小帯もレーザーで切り、その下の鼻中隔下制筋も切るため鼻の穴が大きく上に変形する口腔前底拡大術(こんな手術名なし)も施術されるが縫合はしない。当然手術部位は癒着する。問題点は、英語では舌小帯短縮症をAnkyloglossiaと訳すが、舌癒着症もAnkylogossiaとしているが、それは無い。舌癒着症の分類を舌小帯短縮症の分類を使っている。ファイバースコープで喉頭を診るが、術前術後に喉頭蓋と声帯が同じ位置である。パルスオキシメーターで測定するが、99%で正常。(舌癒着症は80%ぐらいらしい)助産師からの舌小帯短縮症手術の依頼紹介なのに、舌癒着症にすり替えるが、手術をやってくれる医者がいないので、お母さん方は同じものと勘違いし手術を予約する。驚くのは問診です。仰け反って泣く、夜泣き、大理石模様皮膚など赤ちゃんなら誰でもやっている内容だ。手術後虫の息になっている我が子を見て後悔するお母さんが多い。(舌癒着症の講演会、舌癒着症手術を家族が反対しているのに受ける赤ちゃんのお母さんの話、手術を迷っている方、手術後舌が癒着して困っている方、後悔している方などの話を参考)
サードインパクト
1994年にノルウェーの乳幼児突然死症候群学会で、舌癒着症のグループが「日本で乳幼児突然死症候群の発生頻度が低いのは舌癒着症の手術をしているから。」と発表しました。舌癒着症と軋轢があった小児科学会は小児科学会員約200人にアンケート調査しました。結果、19医師によって、67例行われていたが、舌小帯を手術する医師は1/4で4名の医師、小児耳鼻咽喉科専門医師は稀であったとした。その結果、「乳幼児の突然死を予防するという目的で舌小帯に手術的侵襲を加えることの正当性を認めることはできなかった。」として事実上舌小帯の手術を禁止した。これが2001年に出された論文「舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果」である。論文タイトルを見て気付かれる方も多いと思いますが、舌癒着症に対しての調査結果でなければならないのに、小児科学会は舌癒着症と舌小帯短縮症を同じものと間違えていることです。恐らく、舌癒着症は舌小帯短縮症は舌小帯だけ切り、その下の筋肉まで切るのが舌癒着症と勘違いしていることです。それが現在でも続いており、哺乳障害やハート舌で小児科にかかると、「舌小帯短縮症が原因では無い。哺乳障害は様々な要因で起こる。3歳までに『さ・ら』が言えなかったらその時に専門医に切ってもらえばいい、それまで様子を見ましょう。」と言われて帰される。日本中の小児科医が全く同じ内容のことをお母さん方に告げている。この論文が出て今年で20年経ちますが、一度出した論文を否定することはこれからも無いと思います。小児科では舌小帯短縮症手術はしないということです。
フォースインパクト
小児学会が舌小帯短縮症手術を禁止したことが舌癒着症にとって棚からぼた餅であった。日本中に手術禁止のおふれがでたので、短い舌小帯を切ってくれるところは舌癒着症しかなくなったわけです。余計に手術跡が癒着して固くなって舌が動かない人や鼻の下の筋肉をズタズタに切っているので鼻の穴が大きくなる変形がでてきた。(舌癒着症の手術承諾書に鼻の穴の変形があるという注意書き加わる)舌癒着症の他にただ舌小帯をレーザーで「ピッ」と切るだけでいいと勘違いした歯科医が参戦してきた。「ピッ」と切るだけだけだと翌週元に戻ってしまうので、大きくレーザー切開してしまい、今度は傷口に瘡蓋ができ瘢痕治癒して固くなってしまった。通常なら懲りて止めるのですが続けます。それは舌小帯短縮症でも軽度なら「あかんべえ」はできるので、それを基準に治ったと勘違いする。
フィフスインパクト
ここまでくればもういないだろうと思ったところ、昨年から総合病院とこども病院の掛け持ちの小児科医が「舌小帯切開」なるものを始めた。最初は総合病院なのに診療時間が月火金の午前中だったので、明らかに非常勤の責任がない若い小児科医と思っていた。案の定、昨年6月の午前の診療中に電話がかかってきて、「昨日赤ちゃんの別の病院で舌小帯を切ったのですが、血が止まらなくて。」「ウチではなくて執刀された病院に電話されました?」「今日はいないそうで診てくれません。」やっぱり非常勤だったか。でも総合病院だから小児科医は他にもいると思って、「他の小児科の先生に診てもらったらどうですか?」「できないそうです。」「それでは綺麗なガーゼかタオルで出血している部分を押さえて圧迫止血してください。それでも止まらなければ、もう一度病院にかけて診てもらってください。傷口は縫ってあるんですよね。」「いいえ、切りっぱなしです。ありがとうございました。」と電話を切られた。そこで総合病院のHPを確認すると年配の先生が担当で、日帰り入院(朝入院して手術して夕方退院?)となっているが、小児科医は午前中だけ診療。手術は表面麻酔剤を塗って切開。切開は膿の切開しか保険診療では認められていないため、保険診療の舌小帯形成術を請求すると不正請求になります。(医者なら常識)縫合しないため開放創になり、傷口は瘢痕治癒し癒着する。HPによると再癒着防止のために1日4回ストレッチを4週間行い、1週間後に再癒着の有無を診察し、癒着があれば指で無麻酔で剥離すると書かれています。と言うより、傷口を縫わなければ癒着するのは当たり前だし、レーザーなら焼灼蒸散で止血できる。表面麻酔を塗っても殆ど無麻酔なので赤ちゃんは痛くて泣くし、出血が止まらない。昔の産婆がやっていた時代の「ハサミでチョキン」と殆ど同じで、何の進歩が無い。ウチでは縫合しても赤ちゃんは指を口に入れるので、ミトンを2日してもらっている。それに切りっぱなしだと必ず癒着するので縫合することが望ましいしが、感染しやすくなる。驚いたことはGoogle検索で「舌小帯短縮症」を調べると、1位総合病院、2位こども病院でコンテンツがまったく一緒。HPで同一人物でもコピペして作成するとペナルティがくる。今までの大学や病院では舌小帯切開はさせてもらえなかったと想像できる。ではなぜ自分で舌小帯切開で開業しない理由は舌小帯形成術の保険請求では経営が成り立たない。当然、それでは総合病院も赤字だし、こども病院も赤字です。それに総合病院のHPに舌小帯短縮症や上唇小帯短縮症の治療普及のために診療成績を臨床研究として小児関連学会や学術誌に報告させていただきたいとあるが、そんな原始的な治療では癒着するのが関の山で、赤ちゃんがかわいそうです。当然、小児科学会では舌小帯短縮症手術は認められていませんから、今更50年前の産婆の切開と同じものを出しても認められるわけがありません。患者さんのことを考えるならともかく、自分の舌小帯切開を小児科学会に認めさせようとしても無駄です。2016年に東京医科歯科大学で「舌小帯を考える」で多くの小児科医は現在でも舌小帯短縮症は手術の必要が無いと結論付けられたことを思い出してください。舌小帯切開をなぜサードインパクトの時に主張しなかったのでしょう?
シックススインパクト
井出歯科医院では、30年前に矯正の後戻り防止で舌小帯短縮症手術を始めました。最初は簡単な気持ちで電気メスで始めましたが、何の変化もなし。それで歯科大学の同級生の口腔外科医の水谷先生に春休みと夏休みに舌小帯切離移動術を行っていただきました。しかし、ガマ種やブランディンヌーン嚢胞ができたり、縫合がきついために術後吊れてしまったことも何度もありました。その都度リカバリーをしてまいりました。2007年から舌癒着症の手術を受けて入院された赤ちゃんのお母さんの悲惨な話を聞いて、赤ちゃんの舌小帯短縮症の手術をするようになりました。この年から毎月手術を行うようになり、前月の反省を元に今月はもっといい方法で手術しようと水谷先生といつも話し合っていました。昨年は新型コロナウィルス蔓延で中々舌小帯短縮症の手術の予定が立ちませんでしたが、新しい新・井出式舌小帯短縮症手術を確立しました。これは従来は舌小帯手術の場合は、舌小帯の中央を真一文字にハサミで切り、傷口がダイヤモンド型にひろがってしまい、縫合で吊れてしまいました。その欠点を補うために、舌先の舌小帯が付いている部位にハサミで小さい切れ込みを入れて、舌を引っ張ると自然に裂けてくれて出血も少ないです。その下の舌小帯は丸々残るので予後もいいです。
また以前から手術の際に舌を引っ張ると舌小帯が切れることがありました。それで思いついたのが、舌トレーナーで舌を引っ張って舌小帯を切る方法です。2020年12月からもう2人に行いましたが、予定通り舌小帯は切れてくれました。正月明けからまた舌トレーナーで引っ張ってもらう予定です。これで哺乳障害や構音障害が改善できれば手術なしで舌小帯短縮症は治るということです。