お知らせ

小児科の舌小帯切開で「失敗」する理由は元々舌小帯短縮症の治療でないから!

目次

小児科で行われている舌小帯切開は、本当に「舌小帯短縮症」の治療なのでしょうか?

現在、小児科で行われている舌小帯切開は、「舌小帯短縮症そのものを治す治療」として有効性が証明されているわけではありません。

もともと海外で研究されてきたのは、

「母乳が飲みにくい赤ちゃんに舌小帯切開をすると、おっぱいが飲みやすくなるか」

ということです。

つまり、研究の目的は哺乳障害(授乳のしにくさ)の改善です。

一方、舌小帯短縮症は、舌小帯が短いという形の異常です。

病気が治ったかどうかを調べるのであれば、

・舌は以前より上に上がるようになったのか。
・舌の形は正常に近づいたのか。
・舌の動きは改善したのか。
・幼児になっても、発音や食べる機能に問題はないのか。

このようなことまで調べて初めて、「舌小帯短縮症が改善した」と言えるのではないでしょうか。

ところが、小児科医の論文では、

「お母さんがおっぱいを飲ませやすくなった。」
「お母さんの乳首の痛みが軽くなった。」

という、お母さんの感想が中心になっています。

もちろん、お母さんが授乳しやすくなることは大切です。

しかし、それだけで舌小帯短縮症という病気そのものが治ったとは言えません。

「授乳しやすくなったこと」と「舌小帯短縮症が治ったこと」は、同じではありません。

これから手術を受ける保護者の皆さんには、この違いを理解したうえで、担当医から十分な説明を受け、納得して治療を受けていただきたいと思います。

【これから舌小帯切開を受ける赤ちゃんの保護者の皆様へ】

どうか、「切れば安心」と考える前に、担当医から十分な説明を受けてください。

舌小帯短縮症は、舌小帯が短いことによる先天的な形態異常です。哺乳障害はその症状の一つですが、それだけが病気のすべてではありません。舌の動き、嚥下、発音、口腔機能など、成長に伴ってさまざまな機能に関係する可能性があります。

現在、小児科領域で発表されている多くの論文では、「舌小帯短縮症が治る」とは述べられていません。

評価されているのは、

・母親の乳頭痛が軽減した。
・母親が授乳しやすくなったと感じた。
・授乳が楽になった。

といった、お母さんからの主観的な評価が中心です。

しかし、これらは「舌小帯短縮症という形態異常が治った」ことを直接示すものではありません。

赤ちゃんは「飲みやすくなった」と自分で話すことはできません。また、母乳では実際にどれだけ飲めたのかを正確に測定することも困難です。

本来、病気の治療効果を評価するのであれば、

・舌の形態は改善したのか。
・舌は上あごまで挙上できるようになったのか。
・舌の可動域は改善したのか。
・舌小帯短縮症そのものが改善したのか。

といった客観的な評価も重要です。

さらに、手術直後だけではなく、幼児期、学童期まで経過を追い、発音、嚥下、口腔機能なども評価することが望まれます。

「赤ちゃんの授乳が楽になった」という評価だけで、将来まで含めて舌小帯短縮症が改善したと判断できるのかについては、十分な説明を受けることが大切です。

また、手術を受ける前には、担当医に次のことを確認してください。

・今回行う手術の正式な術式名は何ですか。
・実際に行うのは「舌小帯切開」ですか、それとも「舌小帯形成術」ですか。
・カルテにはどの術式名で記載されますか。
・保険診療ではどの術式名で請求しますか。
・実際に行う術式とカルテの記載、保険請求の術式名は一致していますか。

さらに、術式についても説明を受けてください。

・なぜ縫合を行わないのですか。
・縫合しない場合、傷が癒着する可能性はありませんか。
・傷口のマッサージで癒着を防げるという根拠は何ですか。
・癒着した場合、なぜ指ではがすのでしょうか。
・保護者が縫合を希望した場合は相談できますか。

麻酔についても確認してください。

・表面麻酔だけで十分なのでしょうか。
・赤ちゃんの痛みはどのように評価するのでしょうか。
・局所麻酔は行わないのでしょうか。

赤ちゃんは、自分で治療法を選ぶことも、疑問を医師に尋ねることもできません。

だからこそ、保護者が十分な説明を受け、納得したうえで治療を選択することが大切です。

手術を受けるかどうかだけでなく、「なぜこの術式なのか」「どのような根拠があるのか」「どのように治療効果を判定するのか」「幼児期や学童期までどのように経過をみるのか」についても確認してください。

お子さんの将来の口腔機能を守るために、遠慮せず質問してください。それは保護者として当然の権利です。