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舌繋瘢痕性短縮矯正術(ぜっけいはんこんせいたんしゅくきょうせいじゅつ)と舌小帯形成術(ぜつしょうたいけいせいじゅつ)の違い

小児科医のKindle本「舌小帯短縮症」第7章 治療

5.保険診療
「診療報酬点数表に舌小帯切開術や上唇小帯切開術の項目は無い。

これは切開を処置と考えていた昔の名残かと思われる。

現在保険診療上存在するのは「K419 頬、口唇、舌小帯形成術 560点」と「K418-2 舌繋瘢痕性短縮矯正術 2650点」のみである(1点は10円)。

従って単なる切開であっても「頬、口唇、舌小帯形成術」で請求するほかない。

年長児や成人で全身麻酔下に縫合を伴う形成術を行った場合は「舌繋瘢痕性短縮矯正術 2650点」で請求している。

手術に伴うリスクを考慮すると報酬は安すぎで、舌小帯切開が普及しない要因の一つになっていると思われる。

本来、形成術とは縫合を伴う手術と考えられるが、それでは舌小帯形成術と舌繋瘢痕性短縮矯正術の違いは何かが判然としない。

著者は実情に合わせて「頬、頬、口唇、舌小帯切開術」と「頬、口唇、舌小帯形成術」の2項目で表記すべきと思っている。

舌小帯切開と上唇小帯切開は診療報酬上、「頬、口唇、舌小帯形成術 560点」にまとめて記載されているが、同時に切開した場合は2か所で算定できることが診療報酬の疑義解釈に明記されている。

アメリカでは保険会社によっては舌小帯と上唇小帯の同時切開を認めない場合があり、その場合は先に舌小帯を切開し、1週間後に上唇小帯を切開しているようである。」

つまり、神奈川の総合病院の舌小帯外来では1歳未満の赤ちゃんの「舌小帯短縮症」には「舌小帯切開」を保険診療にある「舌小帯形成術」で不正請求し、1歳以上の「舌小帯短縮症」は「舌繋瘢痕性短縮症」と呼び名が変え、全身麻酔で動かないので舌小帯を切って縫合する「舌小帯形成術」なんですが、「舌繋瘢痕性短縮矯正術」の方が保険点数が高いから不正請求しているとをご自分のKindle本で告白している。

舌繋瘢痕性短縮矯正術と舌小帯形成術は、どちらも舌の機能改善を目的とした手術ですが、適用される症状や手術の目的が異なります。

舌繋瘢痕性短縮矯正術は、舌の動きを妨げる瘢痕組織が原因で生じる舌の動きの制限を改善するための手術です。

主に先天性の問題や外傷、舌がんなどの手術後の合併症などで舌の瘢痕が発生し、それが固く縮んで舌の自由な動きを阻害している場合に行われます。

手術では瘢痕組織を切除し、場合によっては舌の再配置や組織の移植を行うことで、舌の機能を回復させることを目指します。

この手術は舌の広範囲にわたる問題に対処するため、比較的複雑で高度な技術を要することが多いです。

一方、舌小帯形成術は、舌小帯が短くて厚いために舌の動きが制限される「舌小帯短縮症」を治療する手術です

舌小帯は舌の下面と口底を結ぶ薄い粘膜の帯で、この帯が異常に短いと舌が上手く持ち上がらず、話す、食べる、時には呼吸する際にも影響を与えることがあります。

舌小帯形成術では、短い舌小帯を切開し、適切に縫合することで舌の動きを改善します。これは比較的単純な手術であり、多くの場合、地元麻酔下で行われます。

両手術の最大の違いは、対象とする病態の性質にあります。

舌繋瘢痕性短縮矯正術は、広範囲の瘢痕化とそれによる舌の機能障害を対象とし、舌小帯形成術は比較的局限された舌小帯の異常に焦点を当てています。

舌繋瘢痕性短縮矯正術は舌の広範な再建が必要な場合に用いられるため、手術後の回復期間も長く、合併症のリスクも高いですが、舌小帯形成術は手術自体も回復も比較的迅速です。

これらの手術は、それぞれが対象とする病態に適切に対応するために設計されており、舌の機能改善という共通の目的を持ちながら、必要とされる医療技術や患者への影響の大きさにおいて異なります。