
むし歯治療(白いむし歯)
フッ素による予防などで、以前に比べてもむし歯は減りました。しかし最近は、pH3.5の酸性の酸っぱさを砂糖で甘さでごまかす乳酸菌飲料、スポーツドリンク、ジュースなどによるむし歯に注意が必要です。飲んだ後口をゆすいだり歯ブラシをしないと歯の溝に残り、入り口は小さくても中がごっそり溶ける白いむし歯(急性むし歯)になることがあります。これらの急性のむし歯は視診で見つけることは困難でパノラマレントゲンで確認します。

歯周病治療
井出歯科医院では、超音波スケーラーによる歯石・プラークの除去と、ペリオフィールによる治療を中心に行っています。 心臓の手術などを予定している患者さんが、循環器外科から「原因となる歯を抜歯してください」と言われることがあります。 そのような場合でも、すぐに口腔外科で抜歯するのではなく、まず、かかりつけの歯科医院に相談してください。 手術後に使用する抗生剤によって、口腔内の細菌が減少することもあります。また、必要に応じて血液検査で歯周病菌が確認されているかを調べたうえで、抜歯が本当に必要なのかを判断することが大切です。
根の治療(根管治療)
根の治療(根管治療)は、大きく「抜髄」と「感染根管治療」に分けられます。
抜髄は、むし歯が大きくなり、歯髄(神経)まで達した場合に行います。局所麻酔をして、Kファイルという細い器具を使って歯髄を取り除きます。歯髄の通り道である根管は、木の根のように細かく枝分かれしているため、器具だけですべてを取り除くことは困難です。そのため薬剤による洗浄・消毒も行い、最後に根管充填材で根管を封鎖します。神経を取る治療は、歯を残すための治療です 以前、「歯の神経を取ることは死刑執行と同じ」という趣旨のコメントをいただいたことがあります。しかし、神経を取る治療(抜髄)は、歯を抜くための治療ではありません。 むし歯が歯髄(神経)まで達し、歯髄を残すことが難しくなった場合に、感染した歯髄を取り除き、できるだけ歯そのものを抜かずに残すために行う保存治療です。 もちろん、歯髄をできるだけ残すことは大切です。しかし、歯髄を保存できない状態までむし歯が進行した場合には、抜髄・根管治療を行うことで、歯を抜かずに使い続けられる可能性があります。
感染根管治療は、以前に抜髄した歯に再び感染が起きた場合や、むし歯が進行して歯髄が死んでしまい、根の先に膿がたまったり歯根嚢胞などの病変ができた場合に行います。根管を開け、感染した組織をKファイルなどで除去し、洗浄・消毒や貼薬を繰り返して、根の先の炎症を小さくしていきます。
根の先の病変は、根管治療を行っても必ず完全に消失するとは限りません。小さくなって経過する場合や、再び腫れたり痛みが出たりする場合もあります。そのため、治療後もレントゲンなどで経過を確認することが大切です。根管治療は、治療に日数と時間がかかることがあります。根管の中は細く複雑に枝分かれしているため、一度の治療ですべてをきれいにすることは困難です。根管内の感染した組織を除去し、洗浄・消毒・貼薬を繰り返して、根管内の細菌をできるだけ減らしてから根管充填を行います。そのため、症状や感染の程度によっては治療回数が多くなることがあります。
抜歯
親知らずの抜歯は、富士市立中央病院の口腔外科に依頼しています。
最近では、高齢の患者さんで歯周病により歯がグラグラになった場合や、差し歯・奥歯の被せ物が取れて歯が折れてしまった場合など、抜歯が必要になるケースが増えています。
また、骨粗鬆症の治療でビスホスホネート製剤の注射や内服薬を使用している方、6か月に1回プラリアを注射している方、脳梗塞や心筋梗塞などで血液を固まりにくくする薬やワーファリンを服用している方、高血圧の方なども、安全性を考えて口腔外科へ紹介状をお出ししています。人工透析を受けている方についても、使用している薬剤や全身状態を確認したうえで対応します。
現在では「簡単な抜歯」と考えず、患者さんの全身状態や服用している薬を確認して、安全に抜歯することが大切です。
口腔外科では、基本的に当院から依頼した歯を抜歯していただきます。当日の血圧や全身状態によっては抜歯できない場合があります。これは、安全に抜歯を行うためです。
骨粗鬆症の注射
内科や整形外科で骨密度を測定して70%以下だと、6か月に1回のプラリアの注射や、ビスホスホネート製剤であるアレンドロン酸などの治療を勧められることがあります。これらの薬は骨吸収を抑える薬です。骨折のリスクを低下させる目的で使用されますが、骨折を完全に防げるわけではありません。
歯科で特に注意しなければならないのが、顎骨壊死などの問題です。歯周病や抜歯が必要な歯がある場合には、治療開始前に口腔内の状態を確認しておくことが重要です。
また、プラリアは自己判断で中止すると骨吸収が急激に高まり、椎体骨折などのリスクが上昇することが知られています。
そのため、骨粗鬆症治療を始める前には、治療の必要性だけでなく、効果や副作用、歯科治療への影響についても十分な説明を受け、かかりつけの歯科医にも相談してください。
総入れ歯と部分入れ歯
総入れ歯と部分入れ歯は、型の取り方が違います。総入れ歯
上下とも歯がない無歯顎の場合、まず今まで使っていた総入れ歯の型を取り、複製品(レプリカ)を作ります。レプリカを作ることで、今までの総入れ歯の高さや噛み合わせを再現できます。
レプリカ総義歯ができたら、粘膜面、つまり土手に当たる部分に印象材を緩めに練って盛ります。
まず上顎のレプリカを患者さんの口の中に入れます。柔らかい印象材が喉の奥に流れて誤嚥しないよう、余分な印象材を取り除きます。
続いて下顎のレプリカを入れ、いつものように噛んでもらいます。
印象材が固まったら口から取り出し、粘膜面に石膏を注ぎます。
これを歯科技工所に出すと、翌週までに咬合器に取り付けられ、新しい人工歯を仮に並べた総入れ歯ができてきます。
これを患者さんの口に入れて、高さ、噛み合わせ、痛いところがないか、歯の大きさや見た目を確認します。
問題がなければ次回完成となります。
部分入れ歯
部分入れ歯は、既製のトレーか患者さんに合わせた各個トレーを使い、印象材で型を取ります。次の週に噛み合わせの高さを決め、その次に人工歯を仮に並べた試適を行い、完成となります。
部分入れ歯は歯が残っている場合に作りますが、残っている歯は伸びて長くなっていることが多いです。
歯は噛み合う相手の歯(対合歯)がないと伸びてくることがあります。
そのため、口コミに書かれていたような「ビーバーの歯」になることもあります。
なぜなら部分入れ歯は、残っている歯を基準に人工歯を並べるからです。
残っている歯と人工歯に段差ができると見栄えが悪くなります。
また、残っている歯がさらに伸びたり、グラグラになって抜けてしまうこともあります。
その場合、部分入れ歯に人工歯を追加することがあります。しかし、周囲の歯との高さや形の関係から、希望どおりの短い歯を追加できない場合があります。
部分入れ歯のクラスプ(バネ)
部分入れ歯は、残っている歯に「クラスプ」というバネを掛けて保持する方法が一般的です。クラスプには、金属のワイヤーを曲げて作る屈曲クラスプと、金属を鋳造して作るキャストクラスプがあります。
残っている歯の状態や入れ歯の設計に応じて使い分けます。
上顎の総入れ歯はなぜ落ちないのでしょうか?
ガラス板を2枚重ね、その間に水を1滴入れると、ガラス板同士がくっついて離れにくくなります。上顎の総入れ歯にも、これと似た原理が働いています。
総入れ歯と上顎の粘膜の間に薄い唾液の膜ができ、唾液の付着力や表面張力などが入れ歯の維持に関係します。
さらに、総入れ歯の縁が周囲の粘膜に適合して空気が入りにくくなることも重要です。
そのため、上顎の総入れ歯はバネがなくても保持することができます。
「試適」の時に必ず確認してください
部分入れ歯でも総入れ歯でも、人工歯を仮に並べて確認する「試適」があります。この時に、歯の長さ、大きさ、色、並び方、口元の見え方、噛み合わせなどを患者さん自身にも確認していただきます。
ここで希望があれば必ずお伝えください。問題がなければ、歯科技工士はその状態をもとに最終的な入れ歯を完成させます。
洋服の裾の長さを完成前に確認するのと同じです。完成して長期間使用してから「歯をもっと短くしてほしい」と言われても、簡単には変更できません。
入れ歯は、完成してからではなく「試適」の段階で確認することが大切です。
歯科矯正
歯科の矯正は赤ちゃんから始まっています
歯科矯正というと、永久歯が生えて歯並びが悪くなってから、矯正装置を使って歯を動かす治療を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、井出歯科医院では、歯並びは永久歯が生えてから突然悪くなるのではなく、赤ちゃんの時からの舌、唇、頬、下顎の動きと密接に関係していると考えています。
赤ちゃんは生まれてすぐに母乳やミルクを飲み始めます。乳首をくわえ、舌を動かし、上下の唇を閉じ、鼻で呼吸しながら哺乳します。
この時期から口の周囲の筋肉が働き、舌と唇の協調運動が発達していきます。
当院では、おしゃぶりも口腔機能の発達に関係すると考えています。おしゃぶりを吸うことで舌や口唇を使い、鼻呼吸を促す働きが期待できるという考え方です。ただし、おしゃぶりの使用だけで正常な歯並びや鼻呼吸が保証されるわけではありません。
ここで重要になるのが舌小帯短縮症です。
舌は筋肉でできた器官であり、筋性水圧系(muscular hydrostat)と呼ばれる仕組みによって、象の鼻やタコの腕のように形を変えることができます。
舌は前に突き出すだけでなく、上に持ち上げる、左右に動かす、中央をへこませる、丸めるなど、さまざまな形を作ります。
ところが、舌小帯が短く、舌の動きが制限されている場合には、このような動きが十分にできないことがあります。
舌は哺乳だけでなく、成長に伴って咀嚼、嚥下、発音にも使われます。